ハウスクリーニング開業に失敗したから言える4つのこと

(一社)マジ起おそうじビジネス協会代表理事のいんなみです。

この記事を読んでくれている方は、少なからずハウスクリーニング開業に興味をお持ちの方だと思います。そのバックボーンには「何か新しいことをしたい!」や「今の仕事先に不満があって転職を考えている」など、色々な感情があってのことでしょう。

本日はハウスクリーニング開業に興味を持っている方に、私が開業に失敗して、一度離脱した話をご紹介しながら、手堅く開業するための対策案をご紹介していきたいと思います!

目次

私がハウスクリーニングで開業した経緯

私がハウスクリーニングで開業したのは今から13年前の2007年でした。田舎から名古屋の大学へ上京し、そこで出会った仲間と音楽をするようになり、趣味の領域から本格的な活動をするようになりました。

大学を卒業後も就職活動はせず、音楽活動をしていました。しかし、趣味から始めたグループでモチベーションの違いや、歌詞の規制などへの不満があり、やむなく活動を停止することに。2003年のことでした。

そこからの人生は暗いトンネルの中を歩いている様でした。私はそれでも音楽を続けたいと思い、サポートミュージシャンの道を歩み始めました。最初は良かったのですが、やっていくうちに「何か違う。自分はあの仲間と一緒に音楽をやりたかっただけなんだ。今の道は夢のすり替わりの様だ。」と感じるようになり、徐々にモチベーションが下がっていきました。

スタジオミュージシャンの世界は技術とコネ。これ1本で生計が成り立つ人はピラミッドの頂点に君臨するたった一握りの人達のみです。もちろん血の滲む努力、または天才的才能がないとそこにはたどり着けません。

当然私のような安易な考えでは生計も立ちませんでした。最低限生活するお金は建築現場で稼ぎ、後は音楽の時間に充てるという日々を送っていました。

ある経営者との出会いが人生を変えた

ミュージシャン仲間から趣味のバンドに誘われたのですが、その中のメンバーに一人の経営者がいました。社長は私よりも2周り上で会社をいくつも経営しており、社会的自由人でした。そのバンドを1年くらい続けたある日、社長が私にこう言ってくれました。

経営者

印南くんは、仕事って何してるの?

いんなみ

今は日雇いで建築現場で働いています。

経営者

そうなんだね。現場ではどんな仕事をしているの?

いんなみ

美装です。クリーニングで、木くずとかホコリとかを拭き取る仕事です。

経営者

どれくらいやってるの?

いんなみ

そうですねぇ。3年くらいですか。

経営者

3年もやってるの?
クリーニングかぁ。いいね!
私も不動産業をしているから、クリーニングを依頼することがあるんだけど、この業界は需要あると思ってて、自分でも会社を作ろうかなと前々から思ってたところなんだよ。 
3年もやってたら大体できるでしょ?自分でやってみたらどう?やるんだったら私も協力しますよ!

私がこの時思ったことは、

いんなみ

いくつも会社を経営している成功している方が、クリーニングは需要があって、自分でもできると予測してくれている。この人が言ってることは間違いないだろう。

でした。バンド活動が停止して4年が過ぎており、モチベーションも上がらないまま、暗いトンネルをひたすら歩いていた私にとって、その10分にも満たない会話が私に光を差してくれた様でした。もう次の日には腹をくくっていました。クリーニング会社を作ると。早速経営者の元へあいさつに行きました。


ここから地獄が始まるとは知らず・・・

失敗① イニシャルコスト(設備資金)

私は何事の不安もなく始め出しました。言い方を変えれば、何も考えていないバカとも言えます。日雇いの仕事を辞め、まず自分で使う道具を買わないといけません。車は軽自動車がありましたので、それを兼用で使うことにしました。今まで日雇いで生活出来る最低限のお金しか稼いでいなかったので、貯金なんてあるわけがありません。給料は一か月後の支払いだったので、何とか2か月は生活できそうなのと、道具の購入で10万円くらい使いました。この道具も本当に最小限のものしか買えず、掃除機は家の掃除機を兼用で使ったりして何とか形になりました。設備資金にある程度お金が無いと道具も満足に揃いません。最低でも20万円くらいは必要です

失敗② ランニングコスト(運転資金)

貯金が一切なかった私に運転資金などあるわけがございません。あるのは今月と来月の給料分のみでした。当然お金が枯渇していきます。今までどこかに就職したわけでもなく、営業も何をどうしていいかも分からず、仕事も取れませんでした。結局、私は当時付き合っていた彼女(現在の妻)に食べさせてもらうヒモ状態に陥りました。妻には一生頭が上がりません!!運転資金としていくら持っておけばいいかというと、最低でも3カ月分は必要だと思います。それでも営業が中々取れないとなると、さらにもう2カ月分くらいないとある程度安心して始められないと思います。月20万円としても80万円~100万円くらいでしょうか。

運転資金・開業資金の不足があれば金融機関からの借り入れも視野に

最初にある程度の予算がないと、私の様に苦労することになります。資金に余裕があるだけでも精神的に安定しますので、余裕がない方は借り入れなども視野に考えるべきだと思います。新規開業に関しては、日本政策金融公庫さんに一度ご相談してみてください。国の機関ですので、金利も安く融資してくれます。

失敗③ どう営業したらいいか分からない

私は一度も就職したことが無く、仕事も肉体労働がメインだったので、頭を使うことをしてきませんでしたし、全く営業というものをしたことがありませんでした。仕事もその日に指示されたことを淡々とこなすだけ(日々の生活のため)でしたので、経営者の考え方や、営業に関しても全くの無知でした。そもそもどこに営業にいけばいいのかも分からず、引っ込み思案でシャイな私は飛び込み営業など出来るわけがありませんでした。営業が出来ず仕事をすることが出来ず、お金だけどんどん減っていき、最後に無くなって彼女(現在の妻)のヒモになりました。情けない男です。営業先も分からない。どう営業すればいいか分からない。金額設定も全く分からない。そんな状態でした。結局、前の建築現場で外注として仕事をもらったりして、何とか生活の足しにしていましたが、一向に雲は晴れませんでした。

失敗④ スキル不足

日雇いで3年クリーニングをしていましたが、開業して感じたのは圧倒的なスキル不足でした。元々はゼネコンの建築現場での美装クリーニングで、基本的には水拭き・乾拭き、後は外壁の酸洗いぐらいでしたので、掃除の基本は身についていたのですが、それ以外の部分は全く無知だったことに気づきました。また日雇いで仕事に対しての熱意もなく、ただ淡々とこなしていただけだったこともスキル不足に繋がっていると思います。

この4つの要因でついに諦める決断をした

道具も買えない、生活するお金も無い、仕事も取れない、技術も無い。

もう限界だと思いました。
そこで彼女(現在の妻)にこう話しました。

いんなみ

もう限界だ。稼げない。田舎に帰って農業でもしようかな。

あなたがそうするんだったらそれもいんじゃない?私はついていくし。

いんなみ

分かった。明日、社長に言いに行くわ。

次の日・・・

いんなみ

もう限界です。稼げません。僕には向いていないので辞めて、実家に帰って農業でもしよかなと思っています。

経営者

そうなんだね。こればっかりはいんなみ君の人生だから無理に止める気はないけれど、私は名古屋に残った方が良いと思うな。人口も多いし、仕事先も沢山あるから。

まだ始めて3カ月くらいだし、もう少し頑張ってみたらどう?

いんなみ

本当に何から何までありがとございます。でも実家に帰って仕事をすると決断したので・・・すみません。

こうして私はハウスクリーニング開業に失敗し、離脱しました。

その後は地元に一時帰省し、就職活動をしたり、農業が出来そうな土地を見に行ったりしていましたが、自分に合っているというか、これをやりたい、またはこの会社で働きたい、という気持になるような場所は見つかりませんでした。最終的に気になったのは火葬場で遺体を焼く仕事でした。給料もそこそこもらえることがメリットでした。私は両親に火葬場で遺体を焼く仕事をしようと思うと伝えました。さすがの両親もそれだけはやめて欲しいと却下され、選択肢が無くなった私は路頭に迷いました。


そうこうしているうちに、私がハウスクリーニング開業に失敗たことを聞いた、お世話になっていた不動産会社の社長から電話がかかってきました。その社長はハウスクリーニング開業を勧めてくれた経営者からの紹介で繋がった人で、地元が同じということもあり、私を息子の様に心配してくれていました。

クマノ社長

おい!社長から聞いたぞ。辞めるらしいやないか。

いんなみ

はい。もう限界です。実家に帰って就職します。

クマノ社長

アホ!!田舎に帰って仕事やかあるわけないやろ。やめとけ。お前はあれだけ社長に協力してもらっとって、たった3カ月でやめるって恩を仇で返すようなことはするな!あのなぁ、石の上にも三年とゆうやろ!とにかく3年はやれ!のんきなことをぬかすなよ!  ガチャ・・・

いんなみ

・・・

私はこう思いました。

いんなみ

この歳になって本気で怒ってくれる大人は居なかった。そうだ。俺はまだ3カ月しかやっていないではないか。たった3カ月で何が分かるというんだ。石の上にも三年。これでやっとスタートラインに立った気がする。

仕切り直しで再スタート!その結果は?

周りの人のサポートがあり、私は立ち直りました。ここからが本当のスタートなんだと思えるようになり、何か今までの悩みが吹っ切れた様でした。相変わらずヒモ生活は続きましたが気持ちは前に向いて進んでいました。そんな中、偶然マンションで声をかけてくれた方が施工店の方で仕事を振ってくれるようになり、あれよという間に仕事がパンパンになりました。その工務店様とは今でも取引させて頂いております。

まとめ

  • イニシャルコスト(設備資金)は最低20万円は必要。その他車などが必要なのでなければ購入しなければならない。
  • ランニングコスト(運転資金)は80万円~100万円くらいあった方が良い。不安な人は日本政策金融公庫や銀行で借入も視野に考えるべき。
  • 技術をある程度身につけて開業しよう。
  • 営業先や営業方法などをよく考えておこう。
  • 不安なことや悩みは同じ業界の方や経営している人に打ち明け聞いてもらおう。メンターと言える存在の人がいればなお良い。

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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